- 開業した不動産屋の年収はいくら?
- 不動産屋を開業したら儲かるのかな?
一体いくら儲かるのか、開業前にしっかりと把握しておきたいですよね。
そこで今回は、
開業した不動産屋は本当に儲かっているのか解説します。
<プロフィール>
- 1人不動産会社の代表取締役
- アラフォーになってから未経験で不動産屋を開業
- ゆるく長く商売を続けることが目標
- 開業した人の年収
- 不動産屋の収入源
- より儲かるための要素
- 開業する上での注意点
また、より儲かるために次の3つもお伝えします。
- 不動産屋の収入源
- 儲かるために必要な要素
- 不動産屋開業の注意点
あなたの不動産屋の開業に役立てば嬉しいです。
不動産屋で独立開業した人の年収
独立開業した人の年収はいくらなのか?
調査したところ、はっきりと数字でわかるものはありませんでした。
ですが、次の2点から年収が予想できます。
- 年間売上高
- 就業者数
公益財団法人不動産流通推進センターの統計データにこれらの数値がのっています。
2020年度の資本金1千万円未満の数字
年間売上高:6,742,408(百万円)
就業者数:504,506人
6,742,408(百万円)÷ 504,506人
=約1300万円(1人当たりの年間売上高)
出典:公益財団法人不動産流通推進センター 2022不動産業統計集(3月期改訂)
資本金1千万円未満の数字を使ったのは、個人開業のほとんどが資本金1千万円未満だからです。
売上の1300万円から、多めにみて年間600万円の経費がかかるとして、約700万円が年収と予測しました。
就業者数はそこまで大幅な変化はないため、年度の売上金額が年収に影響します。
売上は年度ごと違いますが、2020年は少ないほうでした。
年度 | 売上金額(百万円) |
---|---|
2020年 | 6,742,408 |
2019年 | 7,069,326 |
2018年 | 9,095,620 |
2017年 | 7,275,383 |
2016年 | 8,071,075 |
5年平均 | 7,650,762 |
1年よりも5年平均でみた数字のほうが大きい結果となりました。
なので、年収は700万円~800万円になることが予想されます。
給与所得者の平均年収との比較
国税庁が出している民間給与実態統計調査(会社勤めしている人の平均給与)をみると、
業種:不動産業、物品賃貸業の年間給与額は
約420万円でした。
性別 | 不動産業の年間平均給与額 |
---|---|
男 | 521万円 |
女 | 303万円 |
全体 | 423万円 |
この数字と個人で開業した数字を比較すると、開業者の年収が約300万円多いことが分かります。
開業は、1人でやらなければいけないことが多く大変ですが、頑張って努力した報酬は、すべて自分のところに返ってきます。
年収も増加するため、やりがいもありますね。
ここまで不動産屋を開業した場合、どれくらい儲かるのか見てきました。
結論をまとめると、
開業or給与 | 平均年収 |
---|---|
開業 | 700万円 |
給与 | 420万円 |
開業と給与を比較すると、
約300万円の違いがあることが分かります。
不動産屋の収入源(ビジネスモデル)
では続いて、不動産屋の収入源はいくらなのか。
何をして儲けているのか解説します。
あなたは開業して、何を主な収入源とするのか参考にしてください。
売買仲介は手数料が大きくなりやすい
売買仲介は、仲介手数料が大きい数字になりやすいです。
不動産屋としては、ぜひ契約を締結させたい取引ですね。
物件の売買を仲介し成約したときに、報酬を受け取ることができます。
(例)4,000万円の物件の売買仲介を双方と契約できた場合
仲介手数料計算式
(物件価格✕3%+6万円)✕2人分
(4,000万円✕3%+6万円)✕2人分
=252万円
1回の取引で、これだけ大きな報酬を得る可能性を秘めているのは、魅力的です。
賃貸仲介は最大家賃1ヶ月分の報酬
賃貸仲介は、アパートやマンションに住む契約が締結したときに発生する報酬です。
「最大で家賃1ヶ月分」を受け取ることができます。
(例)家賃8万円の物件を締結した場合
最大報酬は8万円
賃貸仲介は数をこなすことで、報酬額も比例して大きくなります。
賃貸管理の手数料は定期収入になる
賃貸管理は、オーナーに代わって賃貸物件の管理を行うことです。
一般的には、家賃収入の5%程度の報酬を受け取ることができます。
(例)家賃8万円、10部屋入居のアパートの管理をする場合
毎月8万円☓10部屋☓5%=4万円
管理する物件数が増えるほど、手数料が多くもらえます。
家賃に対しての報酬なので、毎月の定期収入になりえます。
保険手数料などは入居時にセットで提案
賃貸物件の管理手数料以外にも、これらの保険を契約してもらうと手数料収入になります。
- 火災保険
- 家財保険
- 地震保険
入居するときに聞く保険なので、聞きなじみがあるかと思います。
これらは、通常アパートなどの仲介とセットで契約します。
自分で契約先を探すかわりに不動産屋が保険を提供することで、入居者自身が契約先を探す手間を減らせますよ、とお客さんにアピールします。
仕入売却は自ら売主となるので、大きな利益が期待できる
仲介や管理と違い、仕入売却は自らが売主になります。
仕入れて販売するという、商売の基本です。
これを不動産に当てはめると商材は次の2つです。
- 土地
- 建物
(例)仕入売却
①土地を安く仕入れ
②自分で建物を建てて
③建物を高く売る
このような商売が仕入売却に該当します。
ここまで、不動産屋の主な収入源をみてきました。
不動産屋を開業して儲かる6つの要素
ここからは、より儲けを出すために必要な6つの要素をお伝えします。
①ターゲット選定
誰をターゲットにするのかを決めることは、成功するために大切なことです。
(例)家を建てる人をターゲットにする場合
ターゲット:30~40代で現状アパート住まい
こうなると、売買仲介か仕入売却がメインの仕事になります。
しかし、あなたの開業場所では、家を建てる人がそもそも少なければ、このターゲット選定は間違っているといえます。
- 地域性
- 年齢層
これらを総合的に判断して、ターゲットを明確にしましょう。
②集客力
不動産屋は、開業すると最初にお客さんになってもらえる人を探さないといけません。
とにかく何らかの方法を使って、集客力を高める必要があります。
- ブログ
- SNS発信
- チラシ投函
- ホームページ
- 友達からの紹介
- 既存客からの紹介
- 知り合いからの紹介
この記事も、検索から見にきていただいている方がほとんどだと思います。
ターゲットが目にする集客方法を使って、お客さんを増やしましょう。
(例)30~40代がターゲットの場合
ネット検索を使って不動産を探すのが一般的です。
普段よりブログ発信などをしていれば、検索から記事をみてくれた人が、お客さんになる可能性もあります。
集客経験ゼロだった私が、はじめて売上を上げた方法は『誰も教えてくれなかった【一人不動産屋開業マニュアル】』を読んでください。
③ビジネスモデル
ビシネスモデルは、開業前にきめる必要があります。
新築が建っていない地域で売買仲介をしても、お客さんがいないため意味がありません。
ターゲット選定とセットでどんなビジネスモデルにして儲かるのか、事前に決める必要があります。
④既存客からの紹介
1度取引してくれたお客さんからの紹介は、嬉しいものですよ。
既存客と良い関係ができれば、良い口コミが広がります。
本人よりも第三者の口コミは信憑性がありますし、
なにより、知り合いが良い口コミは、あなたの信用度をかなり高めてくれます。
営業をかけなくてもお客さんが生まれる好循環です。
新規集客より手間がかからないので、
既存客の紹介をどれだけ増やせるか
これはより儲かるために大切なことです。
⑤営業力
成約につなげるために重要な要素です。
デメリットやメリット、お客さんの利益になることを提案すれば、その対価として報酬を受け取れます。
現在、営業マンとして働いている人であれば、この営業力は普段から磨かれていることでしょう。
不動産屋を開業してもやることは同じです。
うまく成約に結びつけていきましょう。
また、お客さんには誠実に対応しましょう。
誠実に対応することが、あなたの信頼を高めます。
信頼を勝ち取れば、新しいお客さんを紹介してくれる可能性も高まります。
⑥専門分野を活かす
ターゲット選定、ビジネスモデルとの掛け合わせとして、あなたの専門分野を活かしましょう。
専門分野というと「売買専門」とか「賃貸専門」とか「高級物件専門」とかをイメージしがちですが、ここで書いているのはそういうことではありません。
専門分野 = あなたが得意なことや、他人に比べて上手くできること
どちらかというと「得意分野」といった方が分かりやすいかもしれませんね。
例えばあなたが、
- 文章を書くのが得意なら、ブログ
- SNSで投稿するのが好きなら、Twitterやインスタグラム
- 人と会って話すのが好きなら、交流会
得意なことを軸に行動することと、ビジネスモデルをつなげることであなただけの専門分野を作りましょう。
自分の得意なところで戦うことは、他社との差別化になり強みになります。
ここまで、儲けるための重要な要素6つをお伝えしました。
独立当初は収入が安定しない
ここまで、収入源やどうすれば儲かるのかをお伝えしました。
ですが、いざ開業してみても最初は収入が安定しません。
開業当初でありがちな苦労話は、次の2つです。
- お客さんがいない
- 見込み客がいない
お客さんがいないと、仕事が成り立ちません。
当然のことですが、大企業勤めの人ほど会社のネームプレートで集客できるため、個人の努力はほとんど必要ありません。
このような人が開業すると、集客力がないため苦労します。
大手不動産会社から独立したイケイケの営業マンが、会社の看板が無くて集客が上手くいかずに廃業した、という話はよく聞きます。
お客さんを早く多く見つけることが、収入を安定させるために必要な要素です。
開業当初は、集客できないために収入が安定しないことを知っておきましょう。
不動産屋を独立開業する上で注意すべき5つ
続いて、開業する上で注意点をお伝えします。
①固定費
固定費は、どれだけ抑えられるか
これが長く続けていくために大切なことです。
開業当初は、収入が安定しません。
その間でも固定費は発生してしまうので、どんどん元手は減っていきます。
考えられる固定費は、
- 家賃
- 生活費
- 水道光熱費
- 人件費(雇う場合)
- 通信費などの諸経費
最初は細く小さくやっていき、少しずつ大きくしていくことをおすすめします。
大きな事務所をいきなり構えると、300万円~400万円は、平気でかかってしまい大きな支出です。
開業したばかりのうちは、1人で小さくやっていきましょう。
②開業費用
開業費用は、不動産業の業界団体に入会するかしないかで、大きく変わります。
個人開業はほとんどの場合、宅建協会か全日本不動産協会か?のどちらかに入会します。
- 全宅連(宅建協会)
- 全日(全日本不動産協会)
入会しない場合は、営業保証金1,000万円を供託する必要があるので、ここでは
不動産業の業界団体に所属する場合の開業費用を解説します。
結論として、用意すべき費用は200万円あればとりあえず開業はできます。
ちなみに私は、180万円で開業しました。
全日本不動産協会に払った金額や、法人設立のための金額など、
詳しくは『180万円で不動産屋開業できます【私の体験談】』を参考にしてください。
初期費用はなるべく抑えることが、長く続けるためのコツです。
余裕を持った資金繰りを行いましょう。
③人脈
先程も触れましたが、お客さんを紹介してくれる人がどれくらいいるか把握しておきましょう。
開業前からこの人数が多ければ多いほど、収入が安定します。
いない場合は、開業してから収入が安定するまでに時間を要します。
私は苦労しました
他の集客方法を駆使してお客さんを増やす努力が必要です。
④実務経験
開業すると、基本的に1人ですべての業務を行わないといけません。
(例)売買仲介の業務フロー
1⃣集客
2⃣売買の相談
3⃣物件調査
4⃣価格査定
5⃣媒介契約の締結
6⃣レインズ(指定流通機構)への登録
7⃣重要事項説明・売買契約締結
8⃣決済・引き渡し
上記が、おおまかな売買仲介の業務内容です。
あなたが不動産業界で働いたことがないなら、分からないことだらけの世界です。
でも大丈夫です。
分からないことは、その都度、人に聞いたり調べたりすれば何とかなります。
1件1件、数をこなすうちに、経験値が貯まります。
物件調査や価格査定、媒介契約の締結については、このブログで書いているので参考にしてください。
実務経験がないのは当たり前。一番大事なのは、集客です。
もし、あなたがいま、大きな会社で働いているなら、その会社の商品やサービスを買ってくれるお客さんを集めているのは、会社です。
集客しなくても勝手にお客さんが集まる仕組みを、会社が作ってくれています。
このような会社で働いていれば、集客の実務経験はゼロに等しくなります。
物件調査も、価格査定も、重要事項説明も、売買契約締結も、すべてお客さんを見つけてからの話です。
買いたい人と売りたい人を見つけられるかどうかで、不動産屋の明暗は分かれます。
他の実務はオマケみたいなものです。
重要事項説明がたどたどしくても、売買契約の段取りがグダグダでも、集客さえ出来れば不動産屋はつぶれません。
集客の実務経験がなければ、それをどうやって補うかをとことん考えてください。
⑤数字
開業すると、いくら儲かっているのか自分で管理しなければいけません。
当たり前ですが、どんぶり勘定の経営では必ず失敗します。
契約が決まった!売り上げ上がった!と喜んでいるだけでなく
いくらの資金を投入していくら儲かったのか、費用対効果を確かめて次の行動に活かします。
広告を出すときも、いくら金を使って、何人集客できて、いくら利益が上がったのか検証します。
常に数字を気にするようにしましょう。
開業で儲かる可能性を高める資格
ここからは、取得しておくと儲かる可能性を高めてくれる資格を紹介します。
宅地建物取引士
不動産屋を営むには、法律で5人に1人の割合で宅地建物取引士が必要です。
1人で開業を考えている場合は、自分が取得しないと営業できません。
開業するあなたにとっては、儲かる可能性を高める資格であると同時に、取得するべき資格です。
宅地建物取引士を雇う方法もありますが、いなくなってしまうと、すぐにまた別の宅地建物取引士を雇う必要があります。
あなたが取得していれば、雇う必要もありませんし、営業できない不安を感じる必要もありません。
取得してから開業することをおすすめします。
FP(ファイナンシャルプランナー)
FPとは、1人1人のライフスタイルに合わせたお金のサポートをするプロです。
- 現在の収入と支出
- 資産
- 負債
- 保険
- 家族状況
これらを考慮しながら、アドバイスを行います。
不動産取引は、1回の取引金額がとても大きいです。
- 不動産の相談しかできない人
- 不動産とお金、両方の相談ができる人
両方の相談ができる人のほうに頼みたいですよね。
お金の相談もできれば、よりお客さんからも信頼されますし、高い価値が提供できます。
結果、お客さんから選ばれる存在にもなるのです。
行政書士
宅地だけではなく農地も扱える地域で開業するなら、行政書士資格があれば、農地転用手続きの代行で5万〜10万円の収益を上げることができます。
また行政書士として遺言状を作成することができるため、遺言状の作成だけで10万円以上の利益を得られます。
不動産売買がからむ相続であれば、さらに大きな利益が見込めるため、不動産仲介業との相乗効果が高い資格です。
開業すれば年収1000万円も夢ではない
開業すると1人でやることが多い分、会社勤めの人よりも儲かります。
結果を出せば、すべてが自分の儲けにつながるため、開業すると年収1,000万円も夢ではないことがデータからも分かったと思います。
自分にあう方法をみつけ、他社との差別化をはかれば成功できます。
まとめ
開業した人の年収は約700万円
不動産屋の主な収入源は5つ
①売買仲介
②賃貸仲介
③賃貸管理
④その他手数料
⑤仕入売却
開業して儲かるための6つの要素
①ターゲットを明確にする
②集客力を高める
③ビジネスモデルを決める
④既存客からの紹介を増やす
⑤営業力を高めて成約につなげる
⑥あなたの専門分野を活かす
独立当初は、集客できなければ収入が安定しない
開業の注意点5つ
①固定費はなるべく抑える
②開業費用は200万円でも可能
③お客さんを紹介してくれる人脈を大切にする
④実務経験の棚卸しをする
⑤予算管理は確実に行う
開業で儲かる可能性を高める3つの資格
①宅地建物取引士はあなたがなった方が良い
②FPはお客さんに信頼される
③行政書士は不動産仲介業と相性が良い資格
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